化学の勉強法
クリップ(206) コメント(4)
6/12 13:19
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そら
高3 兵庫県 兵庫県立大学工学部(49)志望
化学は、学校の定期テストではいつもいい点をとれるのですが、模試になるといつも偏差値55とかなのでどのように勉強すれば良いかわからないです。
何かいい参考書などがあれば教えてもらえますか?
回答
こうしん
京都大学理学部
すべての回答者は、学生証などを使用してUniLinkによって審査された東大・京大・慶應・早稲田・一橋・東工大・旧帝大のいずれかに所属する現役難関大生です。加えて、実際の回答をUniLinkが確認して一定の水準をクリアした合格者だけが登録できる仕組みとなっています。
こんにちは!
こうしんと申します!
化学は
理論化学、無機化学、有機化学と大別できます。これらそれぞれに対して、数多くの分野が潜んでおり非常に範囲が広いです。
とはいえ、数学のように解法が複雑に入り組んでいるわけではありません。そのため解法と問題の対応付けが基本的にやりやすいのが化学です。どの分野も、「ここがポイント!」と言うものがあったり、解法が決まっているものがあります。
これらを見つけて頭に叩き込んでいくのが我々のすべきことです。
(具体的には数学の勉強法と同じです。数学の勉強法については過去の質問で言及しているので、ぜひご覧ください!)
具体的にポイントを書きたいところですが、なかなか量がえげつないので、少しずつ書いて質問に小出ししていきますね!
とりあえず、理論化学分野です。
理論化学は、構造論、モル計算、溶液、イオン、化学結合、単位格子、金属結合、結晶、酸塩基、希薄溶液、気体、蒸気圧、速度平衡、熱化学、pH計算、と非常に多岐に渡っています。
では、それぞれのポイントを説明していきます。
構造論
化学基礎の範囲です。構造は昔から多くの議論がされただけあって、相当な知識量になります。知識なので、よく問われやすい単元をピックアップしていきますね。
・電子殻とオービタルの関係(電子配置)
・混成軌道
・放射能(α崩壊など…)
・原子量の求め方
考えを追求して行ったら、単元最強に難しいです。ハマりすぎに気をつけてください。とはいえ、記述分野はここでよく出題されるので、注意が必要です。
モル計算
全ての基礎であり、化学の象徴とも言われる単元です。
様々なことを習いますが、基礎的な計算ができれば、「単位を毎回必ず書く」ことに注意すれば、かなり計算が楽になります。これで、公式ミスはほぼ防げますし、次の計算は何か?の見通しがつきやすくなります。
また、10の累乗の計算が大変ですので、m(ミリ)が出てきたら、それをそのまま使うようにしましょう。
そして、計算は小学校の連立方程式を解くかのように正確に並べると良いです。割と立式でミスすることが多いので…
溶液
溶液の最難関は、濃度計算です。この公式が多いことや煩雑な計算で悩む人が多い分野ですね。
まずは公式です。公式は、濃度の単位を覚えるようにしてください。それを分数のように見れば、公式が出来上がります。
また、煩雑な計算はモル計算の方を参照してください。
あと注意として、溶液を混ぜ合わせる際に「体積が変化するかどうか?」を考えてください。これには見分け方があります。それは「密度のデータがあるか」で、あれば変化しますし、なければ変化しない、と言う見分け方です。
イオン
これも暗記単元です。以下、よく出るポイントを書くので、暗記の優先度決めに使ってください。
・電子配置
・原子半径
・イオン化エネルギー/電子親和力
です。一応これらの「性質」を完璧に覚えると大丈夫だと思います。記述分野でよく出るので注意です。
化学結合
結合論ですね。熱化学の分野に通じるものがあります。記述分野でも要注意ですね。化学結合は、電気陰性度の強弱、価電子の配置で分類されています。
左に電気陰性度の組み合わせ、右に結果です
強and弱=イオン結合
強and強=共有結合
弱and弱=金属結合
左に価電子数の組み合わせ、右が結果です
1+1=共有結合
0+2=配位結合
単位格子、金属結合
密度関連の計算問題と立体構造がよく出題されます。
密度関連について。
密度を用いて、アボガドロ数や単位辺の長さなどが出題されます。ですがこれも結局、公式の変化形なので、単位を覚えてから、公式の形を覚えるようにしてください。全ては単位の組み替えで導けます!
立体構造について。
構造は2つに分類されます。最密格子とそうでないものです。最密格子は面心立方格子と六方最密充填構造です。(この二者は、本質では同じ構造をしています。そのため、六方最密充填構造の密度の問題が出題されたら面心立方格子で計算すると楽ですね!)そうでないものは、体心立方格子ですね。
これらは立体図形での出題がたまにあります。軽くでいいので、ある程度正確な知識は持っておいてください!
とりあえずは、ここで区切ります…残りはコメントに書こうと思っています!
断片知識しかないですが、頑張ってください!
コメント(4)
こうしん
6/13 16:15
更新します
次回は理論化学を終わらせるよう頑張ります!
結晶
これも暗記単元です!上のと同じように出やすいものをピックアップするので暗記の参考にしてください!
・イオン結晶の融点
・イオン結晶(単位格子)の具体例
・格子定数
・限界半径比
酸塩基
酸塩基は定義が色々合ってややこしい上に、暗記事項が多い大変な単元です。暗記は分類を意識すると整理しやすいので、ここにその分類を書いておきますね。
・酸塩基の定義…アレニウス/ブレンステッド
・酸性物質/塩基性物質(金属、非金属両方あります)
・両性元素→NaOHとの反応式、頻出です
・弱酸弱塩基、強塩基強酸の反応
・弱酸塩基の遊離反応
・揮発性酸生成反応(cf…濃硫酸の性質)
・中和滴定実験(実験器具と解き方、押さえてください)
→滴定曲線、指示薬
以上です。計算方法にもコツがあるものが多いので、それも押さえておいてください!
希薄溶液
沸点上昇、凝固点降下、蒸気圧、浸透圧、コロイドを扱う分野です。この分野は始めにやるので忘れやすく、しかも難しい内容なので特に注意してください!
沸点上昇凝固点降下は、何故そうなるのか?の考えを頭に入れてください。この単元の基礎になります!
蒸気圧は、蒸気圧曲線の図がよく出てくるPT図を大事にしてください。それが攻略の源です。図を必ず描いて、それと合わせて問題を解いたり理解していけば、かなり掴みやすくなります。
浸透圧は、物理の力の釣り合いをイメージしてください。出ている水の体積の重さ分が、浸透圧なんだ、ということが理解できれば、それに関する方程式を立てるだけでオッケーです。
コロイドは暗記事項です。量も少ないので頑張ってください
こうしん
6/15 8:01
更新します
気体
気体はかなり苦手になりやすいです。しかし解き方の経路がかなりしっかりしているので、ちゃんと対策を組めば大丈夫です!
では、その解き方の経路を解説していきます。
気体は問題の分類で解き方が異なってきます。
その分類は
①モルが変化するかどうか?
②他の変数(温度や圧力、体積)で一定のものはあるか?
まず①が変化し、②があるもの
→P=kn、V=knといった比例関係の式で解く
①が変化し、②がないもの
→PV=nRTを用いて情報を全て出す。
①が変化しないもの
→PV/T=一定の式を用いる。
(②に沿って、変数を減らす)
という分類をすることで、解き方を決めることが可能です。
速度平衡
速度平衡の単元では、問われ方と解き方が一対一で対応しています。
なので、それを元に解いていってください!
求速度→速度の定義式を使う(時間で求める速度式)
求k→速度式から導く(濃度に比例する方の式)
求E→アレニウスの式
求半減期→定義式+速度式
です。簡単なので、すぐ覚えてしまうといいと思います!
熱化学
熱化学は「定義」が問われやすい分野です!
まず、定義を確認することをオススメします。確認事項は以下の通りです。
・生成熱
・溶解熱
・水和熱
・燃焼熱
そして、熱化学は「図」を必ず書くことで極端にミスが減ります。
図を描く上で難しいと言われているのは「基準線の取り方」です。そのコツを書いていきます。
基準線は、与えられている情報によって取り方を変えていきましょう。
与生成熱→単体を基準にとる
与燃焼熱→完全燃焼状態を基準にとる
与結合E→結合が切れた状態を基準にとる
ですね。
pH計算
理論化学のラスボスです。しかし、ラスボスにはギミックがあるように、pH計算も手順を決めてかかれば楽勝です。
pH計算では、弱酸塩基、強酸塩基、緩衝溶液で解法が異なるのと、「厳密解」を求めるのか、「近似解」を求めるのかで解法が異なるのとの、2つの分類があります。
弱酸塩基の場合
①水素濃度=√(CK)で濃度を出す
②①で出した濃度で電離度を求める。電離度が
5/100より大→厳密解へ
5/100より小→近似解へ
③(厳密解)平衡の式と、濃度変化の関係式を用いて二次方程式を解きます。
(近似解)①で出した濃度が水素濃度です。
強酸塩基の場合
①強酸の濃度そのまま水素濃度になります。
②それが10^(-6)よりも小さい場合は、厳密解を出しましょう。大きいなら必要ないです。
(厳密解)平衡の式と、濃度変化の関係式を用いて二次方程式を解きます。
緩衝溶液の場合
平衡の公式を変形させます。
k=A(濃度)*H(水素濃度)/B(濃度)
(Bが電離したらAになる式です)この式を
k=A(物質量)*H(水素濃度)/B(濃度)に変形すると、格段に解きやすくなります。なぜなら問題は物質量で与えられることが多いからです。
(緩衝溶液に、厳密解とかいうのはないです)
以上が理論化学です。次回、無機化学。
こうしん
6/19 5:30
無機化学分野
無機化学は、分類を意識して暗記することが重要です。
分類は以下の通りです。
・金属元素
・非金属元素
・再溶解/系統分離
・溶解度積
・沈殿/錯イオン
です。
ではそれぞれの分類をさらに分類していきます。
・金属元素
普通に、アルカリ金属、アルカリ土類金属…などのように族で分類していくと、それぞれの個性が似ているのでオススメです。
また、各族に対して念入りに調べてほしい項目があります。それは
単体の性質(状態、融点、同素体、格子、単体の生成法)、化合物の特徴(溶解性、酸性塩基性、工業的手法)、イオンの性質(色、炎色反応、)、各元素の特殊反応です!
それぞれ調べて、自分でまとめてみると後から暗記しやすいです。
最後の暗記すべき化学反応を一覧にするので参考にしてください
電気分解反応(アルカリ金属)
ソルベー法(アルカリ金属)
カルシウム循環反応(Ca)
ホールエルー法(Al)
テルミット法
鉄の精錬
Cu・Ag反応のまとめ(有機化学含む)
・非金属元素
これも族で分類するのが基本です。金属元素と同じように、
単体の性質(状態、融点、同素体、単体の生成法)、化合物の特徴(溶解性、酸性塩基性、工業的手法)、各元素の特殊反応
で分類していってまとめると良いです!
暗記すべき化学反応は
ケイ素反応(立体的な構造が問われやすい)
ハーバーボッシュ法
オストワルト法
接触法
が主なものです!
・再溶解/系統分離、沈殿/錯イオン
これは、沈殿生成の暗記をする分野です。上記二つの性質から、溶解性だけを抽出して問題にしたものですね。
覚えてほしいものは
Cl類沈殿反応物
SO4類沈殿反応物
クロム酸類沈殿反応物
S沈殿の色と化合物
錯イオン形成の傾向と色
沈殿再溶解物(両性元素)
ですかね。あとは演習あるのみです。
・溶解度積
理論分野的な内容ですが、無機化学分野の知識を使う場面も多いため、無機化学に分類しました。
溶解度積は、沈殿物質がどの程度溶解しているのかを平衡を用いて表したものです。そのため、何が沈殿物質なのか、を知る必要があります。これは多くの問題で与えられますが、たまーに聞いてくるので気をつけてください!
とはいえ、平衡の延長なのでアドバイス等は平衡を見ていただければと思います!
暗記中心なので大雑把な説明になりましたが、無機化学はこの辺で…
次回、有機化学(分割するかもです)
こうしん
6/27 5:39
有機化学分野
有機化学は、暗記+技術の科目です。暗記は、各種反応と構造を覚えるということ。技術は簡単な計算と、構造決定問題です。それぞれについて説明します。
暗記分野
これはもう覚えるだけなので、各種反応について列挙していきますね。
炭素化合物
・アルカン…ラジカル置換反応(塩素置換)、クラッキング反応
・アルケン…付加反応、ラジカル反応(O2による切断)
・アルキン…付加反応、末端のHの反応性(アセチリド系)、重合反応
アルコール類
→ヒドロキシ基によって起きる反応群
・アルコール間反応
・還元反応(Naとの反応)
・酸化反応(級別酸化反応、検出反応→アルデヒド/ヨードホルム)
・強酸との反応(脱水反応、求核置換反応)
カルボニル化合物
・求核付加反応(二酸化炭素の溶解、熱硬化性高分子の合成、糖の反応)
・求核置換反応(エステル)
ベンゼン環
・置換反応
・置換機による反応(ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、炭化水素基)
高分子タンパク質
・アミノ酸(程度の高い大学なら全部覚えたほうが良さそうです)(等電点)
・タンパク質(性質、変性、分類、酵素、検出反応)
核酸
・DNA微細構造(糖を基礎にするといいです)
・DNAの全体構造
糖
・単糖類(構造、環⇄鎖の反応、フルクトース)
・二糖類(グリコシド結合、各論)
・多糖類(アミロース、アミロペクチン、セルロース)
油脂
・暗記(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸)
・ヨウ素価、ケン化価
・石鹸の性質
高分子化合物
重合方法で分類しましょう
・付加反応(ビニル系、ビニリデン系、C4型、C2+C4型)
・縮重合(ポリアミド、ポリエステル、ホルムアルデヒド)
・開環重合(ナイロン6)
技術編
・計算
高分子の計算が特に難しいです。コツとしては、まず初めに単位構造の化学式を把握してから、単位構造を基準にして計算していくと簡単です。
このことを念頭に置いて、いろいろな問題を見てみてください。そうやって解いているはずです。これらを参考にして、解き方を身につけていってください。
・構造決定
手順は以下の通りです。
①情報を得る→予測する
(不飽和度、炭素数、官能基、不斉炭素にチェック)
②題意に合う最低限の構造を予想する
→OやH数に注目するといいです。
③他の情報で構造を修正する
ここで
という流れが一般的ですね。ここで難しいのは、②の部分です。これに対しては経験が大きく物を言います。具体的には、経験を積んでいくことで、反応の組み合わせに対する構造を一瞬で見つけることができるようになります。
ここでお勧めしたいのが、問題でできなかった構造決定の発想の流れをノートなどにまとめてメモすることです。京都大学のような特別難しい大学でなければ、ほとんどがパターン化することができるので、非常にお勧めです。
さらには、頻出構造に対しては研究しておくこともオススメですね。
酸化は、クロム酸ならアルデヒドまで、過マンガン酸ならCOOHまで。H付加が来たら、二重結合と三重結合への付加、または、ベンゼンの破壊、といった風にまとめるのがかなり効果的です。
さらに、分子式の計算方法も網羅しておきましょう。
3パターンあります。
・二酸化炭素、水の質量から求める
・質量百分率から求める
・分子量だけが与えられているところから、整数を使って求める
以上です。全て経験しておくと、本番で早いです。
あと忘れそうになるのが慣用名です。割と忘れるので、ネットで調べるなりして(高校で出てくる)全部知っておくことをオススメします。
最終回です!見てくださってありがとうございました!
全体のまとめ、僕のページに貼っておきます!見にくかったらぜひどうぞ!