英単語暗記において、複数の日本語訳を覚える必要はありますか?
覚える必要はありません。
そもそも、英語の意味を日本語で理解しようという試み自体がむちゃくちゃなことでして、派生意味を覚えようとするとキリがありません。
その意味を下で説明します。
言葉というのは、ある物や概念を言葉という枠組みに入れたものです。
例えば、りんごがあるとします。この場合、りんごという言葉が先にあるのではなく、りんごその物が先にあって、それにりんごという名前をつけますよね。
ある日本人は、りんごを見てりんごという名前をつけます。あるイギリス人は、りんごを見てappleという名前をつけます。
だから、物を表す言葉の場合は、大体英語を日本語で表すことができます。どうしてかというと、りんごだろうが、appleだろうが、同じあの赤くて甘い果実のことをさしますからね。
ミカンとか、橋とか、塔とか、家とか、そういった現実に存在する物を表す単語は、英語を日本語で表すことができます。
厄介なのは、概念を言葉にしている場合です。
例えば「increase」という英単語について、増加する、高まる、増殖する、強まるなどたくさんの意味が存在します。
逆も同じです。
例えば「上がる」という日本語単語を英単語で言おうとすると、go up, rise, getなどたくさんあります。
りんごはapple一つだけだし、みかんはorange一つだけだし、houseは家一つだけだし、bridgeは橋一つだけなのに、概念単語となると意味がたくさん生じます。
ですから、物を表す単語を覚えるときは、1つ日本語訳を覚えるだけで結構です。
概念単語を覚えるときは、その単語の「原義」を覚えるようにしてください。
先のincreaseの例でいうと、増加する、高まる、増殖する、強まるのすべてに「増える」イメージが共通しているということです。
つまり、increaseという単語は「増える」という概念を単語にしたものであって、それを日本語という枠組みに当てはめると、増加する、高まる、増殖する、強まるなどになる、ということです。
だから、まず最初に原義を覚えて(辞書で調べると載ってます)、次に派生意味がその原義に関連していることを印象付けておけば(高まるは、力を増やしてるイメージ、増殖するは、仲間を増やしてるイメージなど)、実際に覚えきれていなくても、英語長文などでその単語が出てきたときになんとなく文脈で理解できるようになります。
それが英語を英語で理解するということです。
ですから、その単語カードの意味が原義である限り、派生意味は覚える必要はありません。