読めるのに解答が上手く噛み合わないこと
UniLink利用者の80%以上は、難関大学を志望する受験生です。これまでのデータから、偏差値の高いユーザーほど毎日UniLinkアプリを起動することが分かっています。
り
相談。
教材を解いているときに本文や内容の理解は以前より出来るが問題の正答率は上がらない。
内容。
英語リーディング、現代文を始めとしたすべての科目において解いているときに本文についての理解は大体できています。→本文訳との一致は8割〜7割です。
しかし、問題との照らし合せが上手くいかず成績も伸びなくて手つかずになっています。
問題との照らし合せと内容をまとめて考えることが苦手です。
簡単な例)日本では、アメリカに比べて保険料が安い上に救急車も呼んで運んでもらうのは公共サービスの一部だ。
問)なぜ日本は救急車がよく行き来しているのか?
このような感じで自分でまとめて答える系統のが苦手なので、回答者様の思考のまとめ方や考え方、取り組み方を教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
回答
たけなわ
すべての回答者は、学生証などを使用してUniLinkによって審査された東大・京大・慶應・早稲田・一橋・東工大・旧帝大のいずれかに所属する現役難関大生です。加えて、実際の回答をUniLinkが確認して一定の水準をクリアした合格者だけが登録できる仕組みとなっています。
以下、ご提示いただいた例をもとに考えてみます。もっとも、私はプロではない(むしろド素人です)ので、以下に書いたことが正しい保証は一切ありません。あくまで、思考過程の参考として、お読みいただけると幸いです。
1.思考過程の一例
まず、問題文を要素ごとに分解します。ここでは、「日本は救急車がよく行き来している」という部分を、①「日本は」、②「救急車がよく行き来している」、の二つに分けてみます。
①に関して、日本の特徴・状況についての情報を本文中に探します。㋐「アメリカに比べて保険料が安い」ことと、㋑「救急車も呼んで運んでもらうのは公共サービスの一部だ」ということが挙げられています。㋐については、医療保険は、保険機関に一定の金額(保険料)を納付すれば、思わぬ病気やけがで入院したり手術を受けたりした場合に、その医療費の一部を賄ってもらえるという制度です。なので、「アメリカに比べて保険料が安い」ということは、すなわち、アメリカに比べ、日本では医療サービスを利用する経済的なハードルが低いということを意味します。㋑については、公共サービスの例として、電車やバスなどの公共交通機関などが思い浮かぶと思います。これらは、言い換えれば誰でも利用できるサービスです。なので、日本では「救急車も呼んで運んでもらうのは公共サービスの一部だ」ということは、すなわち、日本では、誰でも救急車で治療を受けながら病院まで運んでもらえるサービスを利用できるということを意味します。
次に②について、「救急車がよく行き来している」ということは、人々によって救急車が頻繁に利用されているということです。サービスを利用できる人数が多ければ多いほど、利用者数と出動頻度は当然高くなるでしょう。なので、上記㋑と②の間には因果関係があると言えそうです。とはいえ、誰でも利用できるといっても、それに伴って支払うべき料金が高ければ、実質的な利用可能人数は限られます。しかしこの場合の支払うべき料金とは、すなわち医療費です。上記㋐で見たように、日本では保険料が安く、したがって医療サービスを受ける経済的なハードルは低いわけですから、救急車を利用することの経済的ハードルも当然低いことが考えられましょう。よって、㋐と②にも因果関係が認められるとして良さそうです。
(ちなみに、日本では救急車の利用は原則無料ですが、何やら最近一定の場合の有料化の動向も見受けられるみたいですね。軽く調べた限りではありますが。)
したがって、以上の思考過程をまとめて解答を構成するならば、「日本では、誰でも救急車を呼んで病院まで運んでもらうサービスを利用できるうえ、保険料が安く、医療サービスを利用する経済的なハードルも低いから」といった感じになります。もっとも、制限字数の多寡によっては、より端的に書いたり、または本文の内容を離れない限度で肉付けして詳細な解答を書いたりして、自分で調整する必要はあるでしょうが。
2.日々の学習
ご提示いただいた例では、非常に簡潔な文章なのでまだやりやすいですが、現代文や英語リーディングなど、読む文章が長文になるほど、解答の要素となる部分を本文中のどこに見出すかの判断は難しくなると思います。とくに、現代文では一個の主張を言い換えを駆使して何度も読者に訴えてくるので、同じ内容をもつ文章が多いです。日々の問題演習では、自分が目をつけたところと、解答解説で目がつけられているところを見比べて、それが一致しない場合には、なぜ解答解説ではそこに目がつけられているのか、なぜそこに目をつける方が適切なのかを考えるということを心がければ、解答の精度も次第に上がっていくと思います。
3.最後に
文章は理解できるけど点が取れないという状況には私も(とくに現代文で)よく悩んだ経験があり、相談者様の苦悩はよくわかる気がします。ですが、そんな私でも、二次試験では、高校時代いちばん足を引っ張っていた国語の点数が一番高かったので、ちゃんと克服はできます。ですから、不安やもどかしさを感じることも多々あるでしょうが、辛抱強く勉強を続けてください。
コメント(2)
り
返信ありがとうございますm(_ _)m
回答者様の自分の目の付け所と解答解説の相違点を探し出すことを心がける事を私自身してこなかった部分なので、これからはしていこうと思います!
克服は必ず出来ると信じて勉強していきます!
誠にありがとうございました。
たけなわ
ご返信ありがとうございます。志望校が神戸大学法学部となっているので、これに関し一つ申し上げると、神戸大学法学部は非常に権威あるところです。現職の教員の方々は法学の第一線で活躍なさっている先生ばかりですし、長年教鞭をとっておられた名誉教授の先生方も錚々たるメンバーです。どんな理由かは知りませんが、法学部志望で神戸大学を選んだのは、なかなかの慧眼を持っていらっしゃると思いますよ。難しい内容の勉強もあって大変でしょうけど、めげずに頑張ってくださいね。